眼科お役立ち知識
ちょっとしたこと、こんなときどうしたらいいのかな?ってこと、ありますよね?
ここには、皆さんがふと疑問に思うようなことを載せてあります。何かあったとき、是非活用してください。
☑ 目薬のさし方
☑ 冷蔵庫に保管する目薬をもらったけど、外出時や旅行の時はどうしたらいい?
☑ 目の周りに塗るように言われた軟膏が目にはいってしまっても大丈夫?
目薬は1滴で十分です。目薬は1滴がおよそ0.05ml、結膜嚢(なみだがたまっている所)の容量は0.02~0.03ml。目薬1滴で余るぐらいです。さした気がしないからと2~3滴入れても外に流れ出るだけです。
よくテレビのCMで黒目の上にポットンと滴下しているのをみかけますが、本当はあかんべーをして下まぶたの結膜嚢(まぶたの裏と白目の間の隙間部分)に入れます。
目薬をさすのをいやがって固く目をつむり、顔をイヤイヤしますよね。こんな状態ではとてもお母さん一人ではさせませんね。
でもいい方法があります。
まずお母さんは床にあしを投げ出して座ります。お子さんの足をお母さんの足と同じ方向にして仰向けにし、頭をお母さんのももでしっかりはさみます。
お子さんの両腕はお母さんの両ももの下と床の間にはさみこみ、お子さんのあしはお母さんのあしの下半分で押さえつけます。
まるでプロレスのようですが、これでお子さんがあばれても顔が固定でき、かつ両腕が自由に使えます。
目薬のふたをあけ、すぐ取れる所に置き、両手の指を使ってギュッとつむったまぶたをあけ、片方の手の指で上下の骨のところに上げた(下げた)まぶたをしっかり固定します。そして目薬をさしましょう。
かわいそうですので素早くやってあげてくださいね。そして終わったら必ずほめてあげましょう。
だんだん慣れてきて上手にさせるようになれば良いのですが、いつまでたってもうまくさせない方もいらっしゃいます。そんな時は目薬を目の上に固定してさせる便利な道具があります。受付でご相談ください。
指の力が無くてさせない場合の便利グッズもあります。
目薬によっては開封してからの使用期限が1週間とか10日などと決められているものがあります。その場合は期限をすぎれば使えません。
通常の目薬では開封していなければ使用期限までは使用可能です。点眼容器の帯のどこかに必ず使用期限が西暦で年・月が書いてあります。
軟膏の場合はおしりの部分に刻印されています。西暦の下2桁だけの表示のこともありますが、平成表示ではありませんのでお間違えなく。
開封したものは、通常1ヶ月は使えます。多少効力は落ちるものの3ヶ月くらいは大丈夫と思われますが、防腐剤の入っていないものもあるのできちんとキャップをしめていても時間が経つほど細菌によって汚染されます。その都度、医師に相談していただいた方がよろしいかと思います。
ただし、医師が指示した薬剤についての話であって、勝手に自分で同じ症状だからとさすのはよくありません。
いけません。目薬は、さした後は目のところに留まり続けるのではなく、少しずつ鼻の方に排出されます。人工涙液のようにサラサラの目薬でも効果持続時間は 5分程度、粘調性の高い目薬でも15分程度と言われています。次の目薬をさすことによって先にさした目薬が薄まってしまいます。理想を言えば別の目薬とは 15分あけるといいのですが、なかなか今のご時世15分待つのは難しいもの、せめて5分は間隔をとってください。
ただし2種類の目薬をわざと間をあけないでさしていただくよう指示する場合があります。
時計とにらめっこするわけにいきませんものね。時間を気にしなくてもいいように、内服薬のように食事に合わせてみてはどうでしょうか。
1つは食前、1つは食べている途中、1つは食後などというように。
通常、順番はどのようでも構いませんが、効果持続時間を考えると理想的には粘調性のあるものをあとにした方が良いと思います。
目薬をさし忘れやすい方やドライアイの場合など特殊な場合に順番を指定することがあります。 順番を指示された場合は、それを守ってください。
症状が気になって、あるいはさすと気持ちがいいからと、指示した回数を超えて何回もさす方がいらっしゃいます。
目薬は効力が十分になるよう濃度や回数が決められています。むしろ目にとってマイナスになる場合がありますので、不必要にさしてはいけません。
同じ理由で回数が少なすぎても効果があがりません。
たとえば抗菌剤の目薬は指示された回数より少ないと、菌が死滅しないだけでなく、菌のほうが薬に対して耐性をつけてしまい、その薬が効かなくなってしまいます。
回数はきちんと守りましょう。
同じ症状でも違う病気であったり、同じ病気でも年齢や症状によって使う目薬が異なることがあります。
たとえ同じ名前の目薬でよい場合でも、処方してもらった目薬が無くなったから家族が以前使った同じ目薬をさすというのもいけません。
目薬の容器の先がまつ毛について細菌で汚染されているかもしれません。目薬は各個人の専用のものを使いましょう。
ケーキなどを買ったときに付いてくる保冷剤と共に持ち歩きましょう。
長時間の場合は保冷剤も多めにしてください。 それでも保冷剤が柔らかくなって効果が無い状態が何時間も続いたら、早めに受診して新しい目薬に換えてください。
軟膏は油ぐすりですので、水分をはじいてしまいます。 先に目薬をさしましょう。
軟膏はトロッとしているので目の中で少しずつ解けて効果が長持ちしてくれます。
その他、まぶたの裏やまつ毛と眼球とが直接触れて、癒着したり傷つけたりするのを、軟膏が緩衝材となって保護してくれる、そんな効果を期待して処方する場合もあります。
目の周りに塗る軟膏は、目の中にも使うことがある軟膏ですので、基本的には目の中に入ってしまっても大丈夫です。
しかし、できれば入らないほうがいいものと、むしろ入ったほうがより治療効果があがる場合もありますので、医師にきいてみてください。
必要と思われる目薬は眼科で処方されます。市販の目薬は、眼科に行くまでの様子見のものと思ってください。あえてさしたい場合は医師に相談しましょう。
目薬があなたの体質にあわないためアレルギー反応をおこしてしまったのかもしれません。直ちにさすのを中止して医師に相談してください。
また今後その目薬 に類する薬は目薬に限らず内服薬や注射でもやはりアレルギー反応をおこす可能性がありますので、名前を覚えておいて他の科を受診する際には、報告してください。
お仕事の関係や、お子さんですと塾や習い事があって、気になりつつもついつい症状をそのままにして様子をみながら眼科受診が延び延びになっていませんか。
お気持ちはよくわかりますが、時間が経つほど治すのにも時間がかかりますし、早く治療を開始しないと手遅れの場合もあります。
早い時期から目薬をさせば 治ったのに、日にちが経ったために手術が必要になってしまうこともあります。
大切な目ですからできるだけ時間を工面して早めに受診しましょう。市販の目薬で様子をみるのも数日程度と思ってください。
最近はやりのレーシック、近視を治すための手術です。 角膜の表面に器械で切開を加え、切開した底面をレーザーで薄く削る手術です。
比較的安全な手術で、効果もばつぐん、手術が終わった直後からよく見えますが、角膜や目の中の状態により手術を受けられない人もあります。現在のところ保険は使えません。
近視が軽減されたりあるいは治りますが、現代は目を酷使することが多く、40代・50代になっても近視が進むことがあります。いったんレーシックで近視が良くなってもまた近視になることは十分あります。 ただ、レーシックを複数回受けることは可能です。
また中年以降の方はレーシックで近視が良くなると、逆に近くのものが見えにくくなり、老眼の症状が強く出ます。
しかしいちばん気になることは、長期間(何十年)経った時に目にどのような変化が来るかまだ判っていないことです。リスクを十分理解したうえで手術を受けなければなりません。
レーシック手術をやっている施設で詳しく説明をしてくれますので、まずは相談に行きましょう。
学校の眼科検診で視力異常を指摘されても、お子さまご本人は結構長い間見にくい状態で過ごしてきているので、見にくいことに慣れてしまって、実際に視力が 悪くても見にくいとは言わないこともよくあります。
「子どもは見えると言っている」とおっしゃる親御さんのお気持ちはよくわかりますが、学校の教室での 席がどこであろうと視力は0.7必要と言われています。 裸眼の視力が0.7より下がったらメガネをかけましょう。 近視はデメリットばかりではありませ ん。お子さんが老眼の年代になったとき、近視があると老眼の症状が出るのが遅くなり、近視の程度によっては老眼鏡をかけなくても近くが見える場合もあります。
眼科では、本当にメガネが必要な状態か、一時的に視力が落ちているだけなのかを検査して判断します。 一時的に視力が落ちている場合は、当院では、目の緊 張を取るために目薬で治療したり、器械による訓練(ワック)を取り入れています。ある程度経過をみて、緊張が除かれたか再度検査し、緊張が取れていても 0.7より悪ければ、やはりメガネをかけることになります。メガネが必要と判断されたら、お子さまのためにぜひメガネを作ってあげてください。
ただし四六時中メガネをかけっぱなしにするよう強要するのではなく、最初は見にくい時にかけるというぐらいで良いでしょう。無理やりかけさせなくても、見えるということがこんなに快適だったんだとわかれば、自然にかけている時間が延びていきます。
ただし生活習慣が改善されなければ、メガネをかけていてもやはり度が進んでしまいます。
メガネを作ってからも半年に一度は視力をチェックしましょう。
すぐ下のタイトル「メガネをかけると近視が進行すると聞いたことがあるけど」の説明もご覧ください。
こどもの目は成人になるまで発達します。 近視・遠視・乱視という目の屈折状態は、発達に応じて生理的にも変化をし、新生児期には遠視ですが、生後3ヶ月以降、遠視の度合いが減少して正視に向かい、さらに近視化していきます。
屈折状態は目の角膜の曲率、水晶体の屈折、眼球の奥行きの長さ(眼軸長)によって決まります。とくに眼軸長は20~25才くらいまで伸び続けて近視化していきます。 それを相殺するのが水晶体ですが、そのアンバランスによって近視になります。 遺伝的な要因もあります。
メガネをかけるようになってから近視が進んだというのは、メガネをかけたことが原因なのではありません。 上記のように生理的にも近視は進んでいくのです。
メガネをかけるようになるまでは、見にくいことに慣れてしまっていますので、あまり見にくさを気にしませんが、よく見えるメガネをはずした時に見え方の落 差から見にくいと自覚するようになります。それがタイトルのような伝説を生んだのかもしれませんね。 そして近視は進みますのでメガネを作り変えることに なり、近視がどんどん進むと誤解されることになります。
こどもにメガネを処方する目的はよく見えるようにするだけではありません。 正常な視機能の発達を促すためや目を内側に向けて両眼できちんとものを見えるようにしたり、目を保護するためだったり。
単に近視の場合も、もし裸眼のままで放っておくと、近くはよく見えるため目を内側に寄せる程度や頻度が減り、外斜位になることがあります。外斜位とは、 ボーっとしているときに眼球が外向きになって、ものを見ようとしているときはきちんと眼球がそちらを向いているというものです。
ですからやはりメガネは必要と言われたらかけましょう。 ただし適正なメガネが必要です。きちんと眼科で処方してもらいましょう。
いろいろな考え方があると思います。可能か可能でないかで言うならば赤ちゃんでも親がしっかり管理してあげれば可能です。個人差があると思いますが、自分でしっかり管理できるようになるのは小学校の高学年からでしょうか。
しかしコンタクトはあくまでも生体にとって異物であり、かつ酸素不足の状態を成長期真っ只中の子どもにわざわざ与えるのはどうかと思います。スポーツをする時だけにしておいた方が良いと思います。常時つけるのは高校卒業してからでどうでしょうか。
湿疹だけで目の症状が無ければ皮膚科が良いと思います。眼科医の立場としては、湿疹の種類まで鑑別するのは正直むずかしいので、目から離れた皮膚の湿疹は皮膚の専門家にまかせたほうが良いと思います。目に症状があれば眼科でも目の所見からある程度類推することができます。
目の症状を伴う場合には逆に、皮膚科医にとっては、湿疹は診断ついても目のことまではわからないといったところでしょうか。そのため眼科医からも皮膚科医からも敬遠されがちなのがこの分野です。